
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
【祈り】
クリシーは、祠の前でただただ佇んでいました。
あれほど美しく、そして逞しかった神の軍隊は、もうその姿を消しています。
なぜなら、誰も神の軍隊を必要としなくなってしまったからです。
これからは自分たちの力で生きていく――。
『強欲の夜』事件から人びとが得たものは、そんな尊い意思でした。その意思が形となったのが、神々の、あの金色の軍隊だったのです。
が、今はそれが裏目に出てしまっています。
クリシーの頭の中には、街で演説していた時に、まさしく戦いに出ようとしていた男に言われた言葉が、まだ残っていました。
自分たちの力で生きていく、その意思の結晶が神なんだとしたら、俺たちは神に頼ってはいけないってことになるだろ。祈った瞬間に、俺たちの決意は崩れ去ることになる。だから俺たちは自分たちの力でこの国を、俺たち自身を守らなくちゃならないんだ――。
まったくその通りなのです。
だからこそ、クリシーは虚しかったのです。国が危機にさらされている今、自分が何もできないことへの無力感が、胸いっぱいに広がっているのです。
「神に仕えてきた、これまでの私の人生はなんだったんだ」
誰にともなく、クリシーはそう呟きました。
すると、それに応えるかのように、祠の中から声が響いてきました。
「僧侶クリシーよ。おまえは何を勘違いしているのだ」
神の声です。
クリシーはその声に、恐れに似た感覚を覚えました。
「神よ。いったい私が何を勘違いしていると仰せか」
クリシーは、祠の前でただただ佇んでいました。
あれほど美しく、そして逞しかった神の軍隊は、もうその姿を消しています。
なぜなら、誰も神の軍隊を必要としなくなってしまったからです。
これからは自分たちの力で生きていく――。
『強欲の夜』事件から人びとが得たものは、そんな尊い意思でした。その意思が形となったのが、神々の、あの金色の軍隊だったのです。
が、今はそれが裏目に出てしまっています。
クリシーの頭の中には、街で演説していた時に、まさしく戦いに出ようとしていた男に言われた言葉が、まだ残っていました。
自分たちの力で生きていく、その意思の結晶が神なんだとしたら、俺たちは神に頼ってはいけないってことになるだろ。祈った瞬間に、俺たちの決意は崩れ去ることになる。だから俺たちは自分たちの力でこの国を、俺たち自身を守らなくちゃならないんだ――。
まったくその通りなのです。
だからこそ、クリシーは虚しかったのです。国が危機にさらされている今、自分が何もできないことへの無力感が、胸いっぱいに広がっているのです。
「神に仕えてきた、これまでの私の人生はなんだったんだ」
誰にともなく、クリシーはそう呟きました。
すると、それに応えるかのように、祠の中から声が響いてきました。
「僧侶クリシーよ。おまえは何を勘違いしているのだ」
神の声です。
クリシーはその声に、恐れに似た感覚を覚えました。
「神よ。いったい私が何を勘違いしていると仰せか」
