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ここから始まる物語

第7章 脱出

「お願いでございますじゃ、その娘ごをわしらにお渡しくだされ」
 神々のおさを名乗るセオスは、頭をさげました。あくまでうやうやしい態度をとっていますが、その後ろに控える「神々」の集団は、今にも襲いかかってきそうな雰囲気です。鼻息を荒く吹き出し、ぎょろぎょろした目には、いよいよ血管が太く浮いています。
「断る!」
 ピスティは、きっぱりと言いました。
「それでは仕方がないですじゃ」
 セオスはうしろを振り返るなり、声をかけました。
「みな、かかれ! この少年も殺してかまわん!」
 すると目をぎょろつかせた「神々」たちは、いっせいにピスティに向かってきました。
 しかし、恐れることはありません。いくら数が多いからといって、しょせん一人一人は痩せっぽちのちびばっかりです。
 しかも扉が狭いので、いくら数が多くても、全員がいっぺんに襲いかかってくることはできません。
 ピスティは落ち着いて剣を繰り出しました。敵に向かって剣を突き出し、敵が突き出して来る武器をなぎ払い、薙ぎ払った剣を戻すと同時に斬りつけます。
 そうしてしばらく戦ったのですが、だんだんとピスティは疲れてきてしまいました。
 一人一人の敵は弱いのですが、倒しても倒してもきりがないのです。
 息を切らせて戦っているうちに、ピスティはだんだんと押され始めました。扉を境にして戦っていたのが、もう扉から三歩ほどさがっています。
 これ以上さがると、敵は一気に部屋の中へなだれ込んでくるでしょう。そうなっては面倒です。ピスティは服が裂かれても髪が斬られても、とにかく部屋に敵を入れまいと、悪魔になった気分で剣を振るいました。

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