ここから始まる物語
第2章 村に迫る危機
兄は城の中で読書に勉学に礼儀作法にと、いろいろと身につけてはいるようなのですが、ピスティにとっては、そんなことは退屈なだけでやっていられません。だからこうやっていつも外に出ているのです。
今日は仲間と狩りをするために、たまたまこの村を通りがかったのです。
そうしたら何やら物騒な怒鳴り合いの声。
様子を見ると、今にも殴り合いが始まりそうだったので、ピスティは石を投げて喧嘩を止めたのでした。
「どうして喧嘩なんかしてるんだい」
ピスティは村人たちの輪に入っていくと、背の高い男の前で止まって、顔を見あげました。
「そりゃあ――」
男の話によると、喧嘩の理由はこうでした。
なんでも、この近くにある山に、ディモナスがたくさん集まっているというのです。
ディモナスとは、人間に似た怪物のことです。山に住んでいて、人に悪さをします。鍛えられた戦士なら、ディモナスを退治することも出来るでしょうが、そうでない人が出くわしたら、まずかないません。
そのディモナスが、集まっているというから大変です。一匹でもかなわないというのに、群れをなしているとなると、軍隊を出しても勝てるかどうかわかりません。
「だから揉めてたんでさあ」
と、太っちょの男が訴えました。
「ディモナスたちが群れで襲ってきたら命がねえ。だから襲ってくる前にこの村を出るべきだっていうんだけど、こいつが――」
太っちょの男は、憎々しげに、背の高い男を睨みます。
今度は、背の高い男が言い募りました。
「俺たちは畑を耕して暮らしてるだよ。この村を捨てたら、俺たちは行く場所がねえ。畑がなけりゃ飢えるしかねえ。だから村を捨てることなんて、できねえだよ」
今日は仲間と狩りをするために、たまたまこの村を通りがかったのです。
そうしたら何やら物騒な怒鳴り合いの声。
様子を見ると、今にも殴り合いが始まりそうだったので、ピスティは石を投げて喧嘩を止めたのでした。
「どうして喧嘩なんかしてるんだい」
ピスティは村人たちの輪に入っていくと、背の高い男の前で止まって、顔を見あげました。
「そりゃあ――」
男の話によると、喧嘩の理由はこうでした。
なんでも、この近くにある山に、ディモナスがたくさん集まっているというのです。
ディモナスとは、人間に似た怪物のことです。山に住んでいて、人に悪さをします。鍛えられた戦士なら、ディモナスを退治することも出来るでしょうが、そうでない人が出くわしたら、まずかないません。
そのディモナスが、集まっているというから大変です。一匹でもかなわないというのに、群れをなしているとなると、軍隊を出しても勝てるかどうかわかりません。
「だから揉めてたんでさあ」
と、太っちょの男が訴えました。
「ディモナスたちが群れで襲ってきたら命がねえ。だから襲ってくる前にこの村を出るべきだっていうんだけど、こいつが――」
太っちょの男は、憎々しげに、背の高い男を睨みます。
今度は、背の高い男が言い募りました。
「俺たちは畑を耕して暮らしてるだよ。この村を捨てたら、俺たちは行く場所がねえ。畑がなけりゃ飢えるしかねえ。だから村を捨てることなんて、できねえだよ」