ここから始まる物語
第10章 裏切り者
街は賑わっていました。
道の両側には民衆が詰めかけていて、ピスティが目の前を通ると、手を振りながら歓声を飛ばします。
「民衆は皆、ピスティさまに心を奪われていますぞ」
ピスティの横を歩いていたゲンが言いました。
「ピスティさまはすげえんだなあ。こんなにもたくさんの人から尊敬されてるんだもんなあ」
同じくピスティの脇を歩いていたライも感心しています。
「王道到来」
後ろにはフウがついてきています。
そのさらに後ろからは、百人足らずの兵士たちが、埃だらけ、傷だらけの姿で歩いてきます。
「ピスティさま。これだけ多くの者が声をかけているのです。なにかお言葉をかけてやってはいかがですかな」
「言葉、か。――うん、そうだな」
ピスティは、その場に立ち止まると、ひしめく民衆に向かって声を張り上げました。
「みんな、ありがとう! そして――」
すまない――ピスティは下を向きました。
民衆はいっせいに静まり返りました。
「何を謝るだよ」
静けさが満ちる中、ライが尋ねます。
それに答える意味も込めて、ピスティは遠くまで届く声で言いました。
「僕が馬鹿なことをしてしまったために、こんないらない戦争を起こしてしまった。仲間にも、兵士たちにも傷を負わせてしまった。傷だけでは、すまなかった者もいる。街も、壊してしまった」
しかし、民衆はそれでもピスティを讃えました。
「何をおっしゃいますか、まだ十四歳なのに、あんなにも大きな敵を倒してしまうなんて、お見事です」
「盗賊を退治したって聞いた時から、大したものだと思ってたんですよ」
「街はあとから作り直せばいい。顔をあげてくだされ」
民衆の中からあがる数々の言葉が、ピスティを励ましてくれます。でも、やっぱりピスティは素直に喜ぶことができませんでした。
道の両側には民衆が詰めかけていて、ピスティが目の前を通ると、手を振りながら歓声を飛ばします。
「民衆は皆、ピスティさまに心を奪われていますぞ」
ピスティの横を歩いていたゲンが言いました。
「ピスティさまはすげえんだなあ。こんなにもたくさんの人から尊敬されてるんだもんなあ」
同じくピスティの脇を歩いていたライも感心しています。
「王道到来」
後ろにはフウがついてきています。
そのさらに後ろからは、百人足らずの兵士たちが、埃だらけ、傷だらけの姿で歩いてきます。
「ピスティさま。これだけ多くの者が声をかけているのです。なにかお言葉をかけてやってはいかがですかな」
「言葉、か。――うん、そうだな」
ピスティは、その場に立ち止まると、ひしめく民衆に向かって声を張り上げました。
「みんな、ありがとう! そして――」
すまない――ピスティは下を向きました。
民衆はいっせいに静まり返りました。
「何を謝るだよ」
静けさが満ちる中、ライが尋ねます。
それに答える意味も込めて、ピスティは遠くまで届く声で言いました。
「僕が馬鹿なことをしてしまったために、こんないらない戦争を起こしてしまった。仲間にも、兵士たちにも傷を負わせてしまった。傷だけでは、すまなかった者もいる。街も、壊してしまった」
しかし、民衆はそれでもピスティを讃えました。
「何をおっしゃいますか、まだ十四歳なのに、あんなにも大きな敵を倒してしまうなんて、お見事です」
「盗賊を退治したって聞いた時から、大したものだと思ってたんですよ」
「街はあとから作り直せばいい。顔をあげてくだされ」
民衆の中からあがる数々の言葉が、ピスティを励ましてくれます。でも、やっぱりピスティは素直に喜ぶことができませんでした。