❇️片暉の残照❇️
第1章 王都からの訪問者
「まさか――――…」
母との二人暮らし、全ては母から教えてもらったことばかり…。
母の姿を見て真似し、生きてきた――――。
「少し、勉強したら――――そこらの令嬢よりご立派になられるやもしれませよ?」
「――――養女としてではなく、女中として雇ってもらうのではダメでしょうか?」
「なりません!ティアナ様に顔向けが出来ません!」
フンと鼻息も荒く決意の固さを見せる公爵に何も言えなくなる。
「家名に相応しくないと判断しましたら…いつでもここへ戻して構いません。
一度、母の故郷を見てみたいのも事実――――…それが叶えば…私は満足です」
私は、スカートを摘み足を曲げ深々と礼をした。