❇️片暉の残照❇️
第1章 王都からの訪問者
「――――私で…いいのでしょうか?」
私は深々と被る頭巾を押さえ…ハジロ公爵に聞く。
「貴女でなければ――――意味がないのです」
しかし、片眼を隠す…このような容姿――――…。
「私はこんな見た目ですし――――学がございません…田舎のしかも、こんな辺鄙な場所での暮らしが長いです…公爵様の名に傷はつきませんでしょうか?」
すると、ハジロ公爵は驚いた顔で私を見る。
「いや…今気がついたのですが――――…実は、私は何事もなくテイス殿と話をしておりました。
これは、上位階級とのやり取りと全く大差がございませんでした…。
テイス殿は、自然とその立ち振舞いができております。
もしや――――ティアナ様は…こうなることを…視野に入れ、テイス殿を教育していたのでは?」