❇️片暉の残照❇️
第7章 穏やかな日々と子守唄
「愛しき――――…愛しき…大輪よ…届け♪…」
「ん?珍しいな――――鼻歌なんて…」
俺は公務室から見える王宮の庭を見つめ――――あの子守唄を口ずさんでいた…。
「あっ――――いや…子守唄だ…」
「へぇ――――なんか愛を必死で届ける歌って感じだな…それ――――メロディーが…切なくて…でも、綺麗だ」
「だよな――――俺もそう思う…
♪寄り添い――――寄り添い…重き空に…紅(くれない)…
守りし――――守りし…苦き水…紫(むらさき)…
願いし――――…思い…愛する…我が宝(たから)~♪」
俺は一通り歌うと、テイスがいるハジロ公爵家の屋敷の方を見下ろす。
「途中の歌詞は――――意味不明だな?」
「フッ――――俺もそう…思う」
俺たちは場を少し和ませた子守唄に笑い…積み上げられた書類に向き合った。