
❇️片暉の残照❇️
第2章 ハジロ公爵邸
「疲れただろう?まず…座って話をしよう…」
パタンと扉がしまるとハジロ公爵はやっと気が抜けたのか…ソファにドサッと体を預けた。
「ジム――――すまないが紅茶をもらえるか?少し疲れているから…甘いのがいいだろう」
「はい、かしこまりました」
ジムさんは胸に手を置き、スッと頭を下げるとお茶の準備を始めた。
「ほら、座って――――…ここは、私の領土にある本邸だ。ここで体を休めたら、王都にあるハジロ邸に向かおう。
そっちは――――王都に滞在するときに使う仮住まいだが職務上そっちがメインになっている…」
「職務上…?」
私は書斎を見渡す。
「バラ関連の商品販売です」
よく見ると、ハジロ公爵の書斎は上品なバラの品で溢れていた。
