❇️片暉の残照❇️
第8章 成祝の義とスノーフェアリー
メルトは部屋をウロウロと歩き回りながら考える――――。
テイスの人生と――――…これからについて…。
“一人は寂しい”と泣いたあの子の姿を思い出すと胸が締め付けられそうになる――――。
「テイスの幸せを――――…願う…」
さっきまでワインを飲んでいたバルコニーに再び戻る気にもなれずメルは眩しく輝く月を見上げる。
大粒の涙を貯める――――あの瞳を見たら…
誰しもが心を奪われる…。
メルトはさっきまでその腕で抱きしめていたテイスの温もりを思い出す。
「――――…小さくて…愛しい…我が妹を守らなくては」
テイスの母親が彼女を守ったように――――メルトも彼女を守って行こうと…月に誓った。