テキストサイズ

❇️片暉の残照❇️

第8章 成祝の義とスノーフェアリー


――――…


なんとかテイスをなだめ…自室に戻ってきたが――――メルトの心臓はドキドキと早鐘を打っていた。



あの――――髪と瞳は…


確実に王家の血が濃いと言っているようなものだった。


王の直系はそれが濃く現れると…ロミが言っていた事を思いだしメルトは項垂れる。


母の学友でもあったマグナ男爵の一人娘…ティアナ様は…いつ――――王族と…


しかも…確実に王と近い血縁者と…


それに――――テイスを身ごもった状態で罪人となった彼女に温情があっても良かったのでは?ましてや、王族との間の子なら…温情とかの前に…無罪にだってなったはず!


まさか――――身ごもっている事を…ティアナ様自身も知らなかった?



その答えが脳裏をよぎった瞬間…メルトは背筋が凍った。


なぜ――――ティアナ様がテイスの瞳を隠したのか…


もちろん別色の瞳だと言うこともあったとは思うが…


黄金色の髪と瞳を見られて――――…人生を左右されるのは…テイス本人な事は間違いない。


“罪人”として故郷を追われたティアナ様と思いがけずこの世に生を受けたテイスがあの山で幸せに暮らすためには……必要な事だったのかもしれない。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ