❇️片暉の残照❇️
第9章 城下町と嫉妬の炎
「おい――――アイツ…本当に令嬢か?」
サンドラはテイスの後ろ姿を見てため息をつく。
確かに身なりは令嬢といった立派なものであるが、行動の節々に――――それとは違う…何かを感じる。
植物研究所に出入りしたり…露店で買い食いし身分を考えず露店の店主に話しかける――――。
テイスはサンドラが初めて出会う…奇妙な令嬢だった。
令嬢らしくない――――令嬢…
サンドラの中でまた一つ…気になる部分が増えた気がした。
そもそも――――王族である自分の口に着いたソースを指で取り舐めるなど……初めてのこと…。
「母にも――――されたことは…無かったな…」
そう考えると…
少し切なくなった――――――――。
しかし、その戯れをサンドラを待ち伏せていたインギル嬢に見られていたなんて…誰も知り得なかった。
「あの――――…眼帯の平民…なんて///なんて…身の程知らずが!」