
❇️片暉の残照❇️
第12章 お茶会と緊張の挨拶
「“ティアナ”が消えて――――…10年以上…か…」
ポルギはレンティスの顔を見ないようにそっと一歩下がる。
「明日は…新年度に入って初めての晩餐会でございます。
万全の体調で皆の前に立たなければなりません――――…、そろそろおやすみください」
「あぁ――――…では、これを下げてくれ」
そう言うと、レンティスは半分飲んだ寝酒のグラスをポルギに渡した。
ポルギはグラスの花びらが変わっていないことに今日も安堵する。
「本当に――――…“大輪”には頭が上がりません…、レンティス様を今でも守っていらっしゃるのだから…」
「フフフ…そうだね」
レンティスはベッドに入ると――――幸せそうに瞳を閉じた。
部屋の灯りを消し――――ポルギはグラスと共に部屋を出た。
