テキストサイズ

❇️片暉の残照❇️

第1章 王都からの訪問者


「――――母は…二年前に亡くなりました…」



「亡くなって……お嬢さん、今…なんて?“母”と?」



私は、突然来た…年配の紳士に頭巾を被ったまま頭を下げた。


「はい――――…ティアナは私の母です」


何故か驚いた顔の紳士は…困惑しながら私をジロジロと見ている。



「失礼ですが…貴女は幼く見えるが…お名前と年齢は?」


いまだに同様を隠せない紳士は私に質問する。


「――――私は、テイスと申します。歳は15になりました」



「?なっ、なんと15?では来年成人の神祝ですか!?」


「あ~…そうですが、村にある協会で行う神祝には行く予定はないです。後見人の保護者がいないので…申請ができなくて」



この国では16歳が成人とされており、16歳になったら教会に出向き神に祝福をしてもらう儀式がある。


だが、私は母が亡くなっていて、成人した後見人もおらず、教会に申請出来る大人がいないのだ――――…知り合いもいないし、神祝は諦めていた。



「なっ、なんと――――…そうでしたか」


「はい、貴族でもないので社交界に出るとかそう言う予定も無いですし…私自信、村人たちには認知されてませんから。神祝の招待が来るかも怪しいです」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ