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❇️片暉の残照❇️

第2章 ハジロ公爵邸


「でも、こんな――――片目の娘など…引き取りを望むでしょうか?」


年齢はともかく…美しくない私を望む貴族などいないと、ハジロ公爵とジムさんを見上げる…。


しかし、ハジロ公爵は大きくため息をついた。


「ティアナ様のご実家は、是が非でも位の高い貴族との繋がりを望んでいて――――…趣味の悪い貴族でも取り入っておきたい…と、ティアナ様のご兄弟やそのご子息ご令嬢は、何人か…良くない噂のご婦人の所へ婿養子などに出されているのです」


ハジロ公爵の顔色を見てか、言いにくい事をジムさんが代弁して私に伝えた。


「――――良くない…噂の…?」


「ティアナ様の一番下のお兄様は…16歳の時に、何人も愛人のいる60歳の子爵の未亡人の婿養子として…嫁いで行ったそうです」


「60…さい?未亡人のって…16歳で?そんなことが…許されるのですか?」


「――――互いに愛し合っての結婚だと言えば…何も言えません」


――――そんな…


「――――…愛人契約のようなものだ…しかし、婿養子とて夫な訳だ、子爵となれる可能性は高い――――…。

現に、60だった妻は亡くなり、ティアナ様の弟様は、コレジバ領土内の子爵となり立派にお家を再建し直した。悪い話ばかりでは無いんだよ…。一か八かの賭けみたいなモノだが…送り込り困れた身としては――――相当苦労したと思う」



――――私は…恐ろしい世界に足を踏み得れてしまったのではないだろうか?


「それで、テイス殿は私の遠い親戚の子で両親が不慮の自己で亡くなった――――と、言う事にしたいのだが…いいだろうか?」

実際、公爵様の親戚に事故死したご夫婦がいたもの事実で私はその夫婦の子供と言うことになった。瞳の怪我も説明がつく――――と…


しかも、貴族の子供は16歳の成人の神祝を経て、社交界のデビューとなるので、まだ神祝のすんでいない私は顔バレしていないと言うことになる…。



「は…はい――――…しかし、大丈夫ですか?」


「大丈夫だ――――…実際、君はまだ成人の神祝を行っておらず、母親のティアナ様の存在は知っていても…、村や教会にはテイス殿自信は認知されていないようだった。問題はないだろう」


確かに、母は私を村に連れていくことはなかった。私の存在はほとんど知られてはいない気がした。


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