❇️片暉の残照❇️
第15章 涙の夜
「テイス――――!」
「テイス!?大丈夫?突然具合が悪くなって…部屋に戻ったと言うから…心配で!」
慌てて部屋にやって来た旦那様と奥様は…
テイス様が賊に拐われかけたことは知らせていない…
それは――――私と離れる前にテイス様からお願いされていたことだった…。
奥様と旦那様がお部屋に来たのは…晩餐会が終わる少し前…。
テイス様が…テラスから投げ落とされてから数時間が経過していた――――。
サンドラ様の話だと…
下に落とされたテイスお嬢様はすぐにサンドラ様の護衛や従者の者たちに助けられ保護された。
すぐに部屋に運ばれ――――…医師の診断も受け…気絶しているだけで外傷もなく安静にしていたら大丈夫だと告げられた…。
私がドリンクを取りに行くのを合図とし…サンドラ様の護衛がテイス様をマークしていたから…迅速な対処が出来たと言うが……
私はテイス様が囮になることに反対だった――――。
確かに、髪を切った犯人を捕まえない限り…何度も危ない目に合うのだと…言うのは分かっていた…。
でも――――…
植物園の時といい――――…髪を切られたと時といい…
お嬢様は…危険な目に会いすぎだ!