❇️片暉の残照❇️
第16章 子守唄とバラの秘密
「――――ん…んぅ…」
「テイス!」
目を覚ますと…お兄様が私の顔を覗きこみホッとしていた。
「テイス――――…俺の他に人がいる…眼帯をして…」
お兄様に言われハッと左目を押さえる――――…
お兄様は自分を盾にして私が眼帯を着けるのを他の人から隠してくれた。
「悪い――――…目覚めてすぐで手間取ってしまうだろうけど…」
私はお兄様の心遣いに胸が熱くなる。
「お兄様――――ありがとう」
眼帯をつけ終わると、お兄様が私の背を支えながら…起こしてくれた。
「テイス――――…大丈夫?具合が悪かったのね…」
「しかし、コーテル様とのダンス…よく踊れていたぞ?」
お父様とお母様が心配してベッドに駆け寄ると…私の手を握ってくれた。
よかった――――…拉致されたことは…知らないんだ…
「お父様…お母様――――…黙って会場を抜け出してごめんなさい…///緊張と人の多さに酔ってしまったのかも…」
「いいのよ!王様に挨拶が出来たのだし――――…倒れる前に会場を抜けたのは正解よ!」
お母様は私を抱きしめると頭を撫でてくれた。