❇️片暉の残照❇️
第16章 子守唄とバラの秘密
「♪~愛しき…愛しき―――…
大輪よ届け
寄り添い、寄り添い…
重き空に紅(くれない)
守りし、守りし…
苦き水紫(むらさき)
願いし、思い…
愛する我が宝――――――――♪」
お母さんの事を思っていたら自然と口から、子守唄が出てきた。
何度も同じ歌詞を繰り返し歌う…お母さんの子守唄…。
自分が歌っているのに…何だか…うとうとしてくる。
「♪――――…苦き水…むら…さき…」
だんだんと瞼が重くなっていく…
「お…母さん…」
私は月明かりに包まれたソファで目を閉じ――――…
眠りに落ちた。
――――カチャ…
テイスが眠りに落ちてすぐ…
部屋の扉が開いた――――…。
「――――ティ……様?」
そこには、レンティス王の執事をしているポルギが立っていた。
「――――そんな…まさか…」
テイスがソファで寝ている姿に動揺し…震える足でそっとテイスに近づくと…
月明かりに照らされた少女の顔を覗きこんだ…。
「そ――――…そんな…///…ティアナ…様?…この…髪――――…それに…紫…は…」