❇️片暉の残照❇️
第16章 子守唄とバラの秘密
そんな物騒な時期に…体調不良だ、万が一を考えてしまう。
しかし――――テイス様はハジロ公爵の養女になったばかりで、リストにも名は乗ってはおらず…
今月やっと成人したと言うではないか――――…こんなに早く目をつけられるものだろうか…。
しかし…あの立派な黄金色の髪を見たら――――誰もが目を奪われ…王位継承者の隣は彼女だと…言うだろう。
片目は怪我で眼帯をしているが…それがマイナスになるとは思えなかった。
ポルギは毒を盛られたのではないかと不安になり…解毒水を彼女に届けたいと思ったのだ…。
普段なら、貴族の令嬢など、興味もなく淡々と仕事をこなすポルギだったが…王様の態度や緑の瞳に――――無視することができなかった。
テイスの部屋の前まで来ると…ノックをしようとし手をかざした…
すると…部屋の中から…微かに――――歌が聞こえた。
「歌――――…子守唄?」
ポルギは懐かしテンポの子守唄につい…耳を傾けてしまった。