❇️片暉の残照❇️
第3章 不思議な娘
「ほ、本当だ――――…パンが柔らかくなっている…不思議だ!」
料理長が出来立てのパンをひとつ取り戻し確かめる。
今までのパンはお世辞にも柔らかいとは言えず硬いパンをスープに浸して食べるのが支流だからだ!
しかし、私の選んだ二種類のハーブを混ぜたパンはふかふかになるのだ。
「よくは分からないのですが…不思議と柔らかくなるんで――――…そうやって食べていました。味も美味しいんですよ?」
それを聞くと、料理長は恐る恐る緑色のパンを口に運んだ。
「!?う――――…うまい!」
料理長の「うまい」を聞いた皆は取り合うようにパンに手を伸ばした!
ハーブパンは好評だったらしく――――!その他のハーブレシピを料理長にいくつか教えその日のおやつは終わった。
まだ、沢山ハーブはあるので午後は厨房の皆さんで新しいメニューやお茶を試すそうだ。
「料理長さん――――また来ていいですか?」
「はい――――もちろん!また、話をしましょう。しかし、お嬢様が怒られませんか?使用人と馴れ馴れしくて……」