❇️片暉の残照❇️
第18章 疑念の春
少し考えてロミは更に渋い顔をする。
「――――なんか…なんか…だな…」
ロミは何とも言えない言葉をメルトに伝えようと考えるも…言葉はが出てこないまま…渡された紅茶を飲み干してしまった。
「分かる――――分かるよ…ロミの言いたいことは…でも、俺もなんて表現していいか分からないし…それが、何かも…分からないんだ」
「なんだか……変な会話だな…」
「だな――――…」
ロミとメルトは変な雰囲気になったこの状況を「ハハハ…」と、空笑いするしかなかった。
「でも――――なんか…引っ掛かる…、ポルギに相談でもするか?あの人なら、レミとレンティス王の関係や俺のお父様との関係にも詳しいだろうから」
「そうだな――――…俺たちじゃぁ、お手上げた」
メルトは手を上にあげると、気を取り直し机の上の書類に取りかかった。
――――その頃、テイスは…
慣れない王宮マナー講座に苦戦していた。
「はい!ここで――――頬笑む!」
「はっ!はい――――!…へへへへ」
「違います――――!頬笑むのであって!歯を見せて笑わない!その“ヘヘヘヘ”って笑うのお止めなさい!」
“笑顔の講座”
だ、そうだが――――…笑顔も王宮では武器の一つ、会話の一つ、コミュニケーションの一つ…と、熱弁されたら学ばないわけには行かない。
しかし、相変わらず「へへへへ」と、笑う微妙な笑い方は改善されていないようだった。