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❇️片暉の残照❇️

第19章 赤と青の欲望



「お母様――――…この…許嫁リストですが…」


庭が春の装いにあと一歩と言う頃…


王宮敷地内にある王弟宮のサロンで、お茶を飲む華やかな“お母様”と呼ぶ女性に声をかけたコーテルが、一枚のリストを持ってきた。


「どうしたのですか?今は、ネールとお茶の時間でしてよ?」


「お兄様、お行儀が悪いですわ」


注意されたコーテルは二人のお茶の時間を邪魔したことに気が引けたが…、目の前の豪勢な茶器と茶葉、それに到底二人では食べきれないと思われる茶菓子に軽食の数々に眉を歪ませる。


「お母様、ネール――――誰か来るのですか?テーブルいっぱいに菓子を並べて…」


「嫌だわお兄様ったら、誰も来ないわよ?来週、お友だちをお茶会に招待しようと思っていたから、茶菓子の新作を作らせたの」


コーテルは妹であるネールの自信満々な物言いに、チラッと母であるレミを見た。



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