
❇️片暉の残照❇️
第19章 赤と青の欲望
「――――おのれ…あの強欲一族め…許せん…許せん…」
王宮から落爵の書類を両手で握りつぶしたコレジバは苛立ちを露にした。
何度、娘の許嫁件を大臣に訴えても返事が無いことに焦りを感じて矢先の――――落爵の命令――――。
コレジバは蛇のように締め上げ始めたルトキ一族の顔がちらつく。
あの、ギョロリと目を動かすルトキ家当主ダイ・ルトキの忌々しい顔や態度を思い出し手元にあったワイングラスを壁に投げつけた!
それと同時に、自分達よりも劣る下位貴族だと思い下手に出ていた自分を悔いた。
「くそ――――…レミ王弟妃…あの女が本性を表しはじめたんだな…油断していた!落爵と言う手があったとは――――…クソ!クソ!クソ!!!」
壁には怒りで叩き着けたワイングラスの中身が飛び散り下にゆっくりと落ちていく――――…
まるで――――下から引っ張られるように落ちていくワインが今の自分と重なりコレジバは再び眉間にシワを寄せた!
