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❇️片暉の残照❇️

第19章 赤と青の欲望


部屋では何もかも上手く行かないインギルが、メイド達に執事を呼ぶように叫んでいた!


「すぐに呼んできて!ハーパー!ハーパー!!!」


「お嬢様――――…ハーパー様は…王宮に呼ばれたと……朝から屋敷を出ております」


一人のメイドがハーパーの行き先を告げると、インギルの顔がみるみる怒りで赤くなる!



「王宮に?!ハーパーが!――――今すぐ呼び戻しなさい!王宮へのお使いなど他のものにでも行かせなさい!」


インギルは自分の父親が落爵したことを知らず、今日もサンドラへ会い行く手段を考えていた。


「もういいわ!王宮へは私も向かいます!サンドラ様とちゃんと今後のことをお話ししないと!」


公爵家は王宮への出入りを自由とするが、原則呼ばれない限り王族の敷地へは入ることを許されない。


インギルは“公爵権限”を使い、サンドラと会うため毎日の様に王宮応接室へ足を運んでいた。


公務のために行き来する宮使いの貴族や王族にはインギルのサンドラ執着は黙認であった。


――――しかし…


今日は王宮入り口から…インギルは入ることを許されなかった。



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