❇️片暉の残照❇️
第20章 母のバラ
夜中に聞こえる鐘の音に目が覚めた――――。
騒がしい外の様子にカーテンを開けて外を見ると…
暗闇の空にオレンジと赤を混ぜた異様な一画に視線が向く――――。
「か…火事…?」
一ヶ所煌々と不規則な揺らめきを夜空に上げる様は…なんとも胸の奥をザワつかせた。
「――――ニコル…?ニコル!?」
私は眼帯を着けると廊下に飛び出した!
すると、外の異変に気がついた使用人が何人か慌ただしく動いていた!
「テイスお嬢様――――!」
そこには、寝間着にジャケット羽織ったキロの姿もあり私に駆け寄る!
「今、ニコルも来ますが――――…何か羽織ってください!また、外は寒いです!」
「ええ――――でも、火事…王宮の…方――――」
「今、確認中です!避難の準備を!」
「避難って!」
鐘の音がどんどん激しくなり――――火事現場は王都中心部なのだと察した!
「テイス様――――!こちらを」
私は合流したニコルにカーディガンを着せられ外に出るように促される!
その間――――使用人たちは屋敷が燃えないよう…水周囲にまき始めた!
「私も――――私も手伝わせて!?」
「ですが!濡れてしまいます!」
ニコルが外に出た私を押さえるが――――…使用人の皆はずぶ濡れになりながら屋敷に水をかけ守っている!
「一人でも多くの人手がいるでしょ?見てるだけなんて――――!火の粉は待ってくれない!」
煌々と燃え上がる火は…王宮方面たが――――…風邪に乗り火の粉は周辺の屋敷や木々にいくらでも牙を向けてくる!
「テイス様!――――解りました!無茶だけは絶対にしないでください!わたくしもお供します!」