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❇️片暉の残照❇️

第20章 母のバラ


屋敷を出ると――――…王都中心部の貴族地区は火事の騒ぎで慌ただしく使用人たちが動いていた。


夜中の出来事でバタバタしている様子が手に取るように分かる。


ハジロ邸も似たようなバタバタ感だったから…。


私は、馬車に揺られなから街並みを眺める――――…皆屋敷を守るのに必死である。


「キロ様――――道が火事騒動で混雑しております…迂回しますか?」



馬車を操縦する馭者(ぎょしゃ)がキロに路線変更を促す。


「そうだな…なるべく道が穏やかなところを選択して植物園に向かってくれ」



道路は整備されているが、ちょっとの段差で馬車は大きく揺れる。


早く植物園に向かいたいが…この悪路でわがままは言えない。



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