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❇️片暉の残照❇️

第20章 母のバラ


「まさか――――…まさか…!」



私はもっと近くで確認しようと駆け出したが…走るには難しいくらい道は荒れていて、足を取られながらも前に進む!



「植物園が…植物園……が…」



私は目の前が涙で見えなくなっても…足を止めなかった…



「お嬢ちゃん――――ここはまだ、立ち入り禁止だ!危ない、植物園はもうダメだ…見ての通り――――全焼だ!」



ヨロヨロと進む私に声をかけたのは消火活動をしていた憲兵のオジサンだった。


「バラ――――は…?バラ…は…」



「バラ?――――バラも何も…植物園の植物は…全滅だ!って、それより君!手から血が出てるじゃないか!?転んだのか?」



涙がピタリ止まった――――…。



「全――――滅…?」


オジサンに支えられなから、そこにあるはずの植物園を私は見上げた!









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