
❇️片暉の残照❇️
第20章 母のバラ
目の前の黒く崩れた建物に手を伸ばした状態で泣き叫ぶ私に――――周りにいた兵士達の視線が集まる…
「――――テイス…様…?」
その視線の中に、レンティス王執事のポルギさんがいた。
「あ…ぁぁ…」
私は駆け寄ってきた知った顔に更に涙が溢れ、崩れ落ちた。
「テイス様!?なぜここに!」
「うっ…ううう……バラ…が――――気になって…」
ポルギさんに支えられ朽ち果てた植物園に視線をやると胸が締め付けられる。
「――――ここは危ない…と、血が出ているじゃないですか!転んだんですか?」
ポルギさんは私の手のひらに滲む血を見て青ざめる!
