
❇️片暉の残照❇️
第20章 母のバラ
「お嬢様――――!」
瓦礫を避けながらやっと、ニコルとキロが私には追い付く!
「ポルギ様――――…テイス様は!」
大柄なポルギさんに抱き抱えられる私にキロが焦った声を発する。
「大丈夫――――…少し擦りむいただけ…」
「手当てをいたしましょう、ハジロ邸に戻るより王宮に向かった方が早い――――…一緒に行きましょう」
私はポルギさんに抱っこされたまま王宮に向かった。
案の定、王宮もバタバタしているようだったが…体制が整っていたらしく、王都の貴族邸の様なあわてふためきは無かった。
「王様やロミ様は大丈夫でしたか?!」
「はい、大丈夫でございました――――…夜中の出火でしたからパニックにはなりましたが…日頃の訓練の成果が出ました」
王宮を世話しなく行き来する使用人の数々に…いつもとは違う雰囲気に戸惑う。
しかし、王様もロミ様も大丈夫と聞き――――ホッとする。
