❇️片暉の残照❇️
第22章 香油と裏切り者
「植物園の火災の件もまだ解決していないのに…」
「彼女は――――…本当に食えない人ですね」
レンティス王はロミとサンドラの婚約者名簿を見てフッと笑った。
「まだ、証拠は揃ってませんが……私欲の足跡は…消せませんから」
ポルギはいくつかの書類をレンティス王に渡すとサッと一歩引いた。
「テイスの…怪我は…良くなったのか?」
書類に目を通しながらレンティス王は…ポルギに訪ねる。
火事の日に――――“お母さんのバラが!”と、植物園に泣きながら走ってきた我が子を何度…抱き締めたかったことか…
「はい――――…痕も残らず…綺麗に治ったとのことです…」
ポルギも気にし何度かテイスの様子をハジロ公爵に聞いていたので、すんなり答えることができた。