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❇️片暉の残照❇️

第24章 王位継承者


「――――紫…?」


アイスティーに浮かぶ花びらから私は目を離すことが出来なかった…。


引っ掛かる――――…紫の花びら…



アイスティーに入る前は、薄ピンクの…可愛らしい花びらだった…。



「少し――――風が強くなってきましたね……。最後のお茶を飲んで…お開きにしませんか?本日はおしゃべりで盛り上がりましたからね――――」


コニウス大臣が皆の目の前にあるお茶を進める――――。



――――重き 空に 紅(くれない)


――――守りし、守りし…


――――苦き 水 ――――――――紫。





私はハッとした!


お母さんの子守唄!



苦い水は――――紫になる!



愛しき大輪――――!



「待って――――飲まないで!」


すると、お茶を飲もうとしていた皆の手が止まった。



私は自分のアイスティーを持ち…コニウス大臣に差し出した。


「――――私は…喉が乾いていないので…良かったら…私のお茶を飲みませんか?」


「は?」


コニウス大臣は私の差し出したお茶を見ると――――…目を見開いた。





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