❇️片暉の残照❇️
第5章 お茶会と宝物
「///メルト――――お兄様…ご存じですか?って、知ってますよね?ここに出入りしている商人なら……。はい!妹となります」
「へ、へぇ~!い、妹かぁ…。アイツ…」
「ん?そう言えば、貴方にも妹さんがいらっしゃるって、言ってましたね?仲はよろしいのですか?――――私は、今まで……そう言う経験がないので…何が正しいのか分からないのです…」
私は、風に揺れるバラの群生に視線を向けると――――一人で過ごしていた山小屋での日々を思い出す。
「仲――――か…、ど~だろう。俺は下の兄弟とは離れて暮らしているから…妹とは野暮用で実家に帰ったときぐらいしか会わないから」
「――――お忙しいのですね?」
各地を商売しながら移動しているんだ…家族と会う機会は少ないのかもしれない。
「君は――――…メルト…様と、うまくいってないのかい?」
「///いえ!ハジロ公爵家の皆さんには本当によくしていただいていて…こんな私でも…///お兄様は優しくて…植物が好きな私のためにあの図鑑を進めてくださったんです!プレゼントしてくれって言っていたのを公爵様が聞いていて――――お兄様より先に私にプレゼントしたりして……///お兄様が公爵様に怒っていらっしゃいました!」
「プッ――――アハハハハ!そうなのか?アイツが怒るとか!」
いきなり笑い出す彼に私も嬉しくなる。
「なら、今度――――王族御用達の植物園にでも連れていってもらったらどうだい?
あそこには、珍しい植物や花たちが沢山あるぞ?」
彼は、バラの群生に手を伸ばし風に揺れるバラをひと撫でした。
と――――その時、不覚にも空腹のお腹が“グググ~”と、鳴り出した。
「そう言えば、さっきからいい香りを抱えているけど、お昼かい?――――って、でもお茶会だって聞いていたけど…」
商人さんは使用人から邸の予定でも聞いているのか?サロンで行われているお茶会の事を知っていた。
「///はい、初めてのお茶会で緊張してて何も食べられなくて……ちょっと、隠れてつまみ食いをと……はしたないですが…///あっ、一緒にいかがですか?厨房にあった材料で適当に作ったものですが……」