❇️片暉の残照❇️
第6章 植物園と銀の狼
お茶会から――――1ヶ月…
秋は深まり、庭の草花は紅葉の見頃を通り越した。
「テイス様――――、メルト様がいらっしゃいました」
お茶会のあと、お兄様は仕事が忙しく植物園に行ってみたいと言う私のわがままは…1ヶ月も叶わなかった。
しかも、王族御用達の植物園に行けるのは――――…王宮に使えている者でも用意に行けるような場所ではないと…お父様の執事であるジムさんから後で聞いた――――。
お茶会の日、商人の彼が言っていたから――――…誰でも行けるものだと思っていた私の考えが甘かったのだと…凄く反省した。
「メルトお兄様…」
私はあの日、少し困った顔をしたお兄様に…凄く謝りたかった。
無知とは――――残酷で迷惑にしかならないことを…私は初めて知った。
「――――お兄様…私は世間知らずで…植物園に行きたいなんて言ってしまい――――申し訳ありません!」
「ジムから聞いたよ――――…あの後…凄く落ち込んだみたいだね…」