僕らのStoryline
第4章 お酒のせい
手と手が重なって、見つめあって、首をかたむけながら
目をつむり、キスをする。
「ええなぁ~」
「フフフっ」
グラスの中のワインは半分ほどになっていた。
向井はソファに座りながらチーズをつまみにワインを
飲んでいる。
隣にはそう、彼もいる。
自分もいつか、こんな風に、彼とキスがしたい。
「何がいいの?」
「へっ?何が?」
テレビには今話題のドラマが。
向井は流れにのって、ハマりにハマり録画を再生した。
2話のエンディングにさしかかるところ。
画面の中の二人はキスをした。
それを見て、呟いた、らしい。
心の中の声が漏れていたようだ。
「キス、したいの?」
隣の彼は少しお尻をずらして向井の方に体を向ける。
酒のせいか、いつもより、声が高くて、熱っぽい。
「何がよ、アカンな。もうこれくらいにしとこな」
心の声を聞かれたことが恥ずかしくて、グラスとチーズの乗った皿を持ちキッチンへ向かう。
「えー、まだいいじゃん」
「明日に響くで、やめよ、やめよ」
冷蔵庫を開けてチーズをしまう。
パタン
トン
冷蔵庫のドアを閉めたら向井の横に腕が。
互いに冷蔵庫の方を向いてて向井に覆い被さるように冷蔵庫のドアに手をついた彼。
「…」
熱い
顔が
背中が
「なに、するんっ」
思いきって振り返ったら、そのまま抱き締められた。
「いい匂いする」
向井の首筋に鼻を寄せる。
一体、今、何が起きているのか、かたまる向井。
ふわっ
彼の香りが鼻をくすぐる。
そして、彼の顔が近づいてくる。
これ…
さっきの…
向井も顔を傾けて目をつむる。
彼の唇が重なった。
「お酒のせいにする?」
彼は言った。
end?