箱……戎壹
第2章 十月十日後の母の手
あれからしばらく――――…
私は…
脱け殻のように過ごした。
生きる場所も――――
希望も――――
愛も奪われ――――私は…死んだように生きた。
ほぼ…何も食べずに…過ごした…
流石に生活音のしない隣人に気味が悪くなったのか…通報され――――…病院に運ばれた。
点滴をされやっと――――ここが何処なのか…気がつく…
騒がしくも、静かな…病院のベッド…
手術から目が覚めた時を思い出した――――。
あの日の――――手術後の安堵と…その後の絶望…。
運ばれたのが…産婦人科じゃないと…良いのだが…
あの――――赤ん坊の鳴き声と…母親たちの大袈裟な疲れアピールには…
嫉妬と絶望――――…虚無感と罪悪感が…
溢れて私を更に殺すのだ…。