箱……戎壹
第1章 目が覚めたら…
そして――――…今…
やっと目が覚めた。
手術が終わって…ナースステーション近くの病室にいると理解できる。
あぁ――――これで…
私たち夫婦に…子供が――――…。
「目が覚めましたか?気持ち悪くはないですか?」
視界に入った看護しに声をかけられ、私は「はい」と、答えようと思うも…
声が出ない――――。
「大丈夫ですよ、手術が長引きましたが…無事に手術は終わりましたから。今は痛み止が効いていて傷口は痛くないと思いますが、痛くなったらすぐにナースコールしてくださいね」
そう言うと、看護師は病室を出ていった。
――――手術が…長引いた?…傷口?
私はぼやける頭を起こして辺りを見る。
すると、ベッドの上に私の名前と…手術名が書いてあった。
『子宮摘出手術』
――――は?
子宮…摘出――――…?
頭をバッドで殴られたような衝撃があった…。
目の前がチカチカして…
――――夢…?これは――――夢…
と、思った――――…。
しかし、ジワジワと下腹部の痛さに襲われると…
現実かも――――知れないと…
霧の掛かった頭で――――理解し始めた。