お兄ちゃんにバレた。
第1章 バレました。
ガっと握られた手首、引き込まれるは薄暗く空調の効いた兄の部屋。背中にはドアの硬く冷たい感触、そして目の前に迫る兄の顔。
「お、お兄ちゃ…ん…?」
兄に伝えようと練っていた言い訳など真っ白に飛び、この状況を理解する事で精一杯。何故所謂壁ドンを、実の兄にされているのだ…?という疑問符ばかり並び、とりあえず距離を取ってもらおうと口を開いた刹那、
「ッ、んン…!」
触れるは温かく柔らかな感触、反射的に目を瞑り恐る恐る開くと、より近くにある兄の顔。ばちッと合った視線慌てて逸らし胸元押し返し、離れる唇。
「な、なんで… えっ…、」
「お前あんなAV見て、独りでしてんの?変態。」
にやり口角上げ言葉を放つ兄は別人のよう。いつもの優しい口調の兄は何処へやら。なんでこんな事に…わたしは見なかった事にしてとお願いをしに来たはずだったのに。なんて考える余裕与える気も無いのか、再び塞がれた唇。遠慮無く舌を捩じ込まれ咥内舐め回すようなディープキス。流れ込む兄の唾液をごくリ飲んだ喉が熱い。どれくらい時間が経ったのかも分からなくなるほどに熱烈な接吻を喰らい、ようやく離れれば肩上下させ呼吸するのに必死なわたし。
「お、お兄ちゃ… 」
「晴瀬お前えろい顔しすぎ。はァ… 、さて、アイス食うか?」
あれだけの事をしておきながら、さらっとアイスを勧めてくる兄は正気か…??
疑問に思いながらもアイスを食べたいわたしの身体は素直らしく、受け取ってテーブルに置いて大人しく座る。
大好きなチョコレートアイス。熱く火照る唇にじゅわりと溶ける甘い味は特別美味しく感じてしまった。ぱくぱくと無言で食べ進めていれば、ふと兄の口から言葉が発せられた。
「俺小さい頃から春瀬のこと性的な目で見てた。」
吹き出しそうになるアイスをどうにか嚥下し、少しむせながらも言葉を返す。
「え、え… まって…それってどういう「こういうこと」
冷たくて暖かくて、柔らかいものがまた、唇に触れた。