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カトレアの咲く季節

第8章 嵐

 つられてそちらを見やるアレクの耳に、囁くようなライの声が届く。
 まるで甘美な菓子を前にしているかのように、楽しげに聴こえた。
「嵐がくるよ」

 一際黒さを増した雲の向こうで、雷鳴が轟いた。

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