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妄想警察

第1章 オタ失格、言語道断の推しシコ

浜本哲郎。

元々は鉄オタだったのだが、たまたま鉄道イベントの時にアイドルのライブがあって大ハマりしたのがきっかけでドルオタに転身した。

推すのはテレビとかには出ずにライブハウスやイベントでライブ活動を続けるいわゆる地下アイドルばかりである。

一応結婚はしているが、夫婦仲は極めて悪くて夜の性活はなく、エロ本やエロビデオで処理をする日々。

娘はもう高校を卒業して働いてはいるが、家賃や食費を浮かせるために同居している。

そんな45歳。

もちろん隠れオタであり、ドルオタのことは仕事関係の人たちや家族には知られてはならない。

もし推しさんのチェキやプロマイドが見つかったら妻や娘にまで「いい歳してバカじゃないの」と軽蔑されるから見つかるワケにはいかない。
エロ本やエロビデオだって同様に見つかるワケにはいかない。汚いモノでも見るように軽蔑されてしまう。

エロ本やエロビデオと同じような扱いで申し訳ないとは思いつつチェキやプロマイドも自分の部屋で見つからないようにこっそりと眺めるのが楽しみという有様である。

男だから溜まるもんは溜まるし、夫婦性活はないのだから処理をするもんはちゃんと処理をしないと大変なことになるのは分かっているのだが、浜本哲郎は最近はオナニーをする回数を減らしている。

仲良くなった推しさんたちは自分のことを清廉潔白ないい人だと思ってくれているはずなので、そうありたいと思うようになってきたのだ。
だからオナニーのような汚いことわして自分を汚してはいけない。

オナニーは悪いことだと思って、オナニーをすると罪悪感に苛まれた思春期の頃のようなピュアな心が浜本哲郎に戻ってきていた。

「ダメだ、オナニーなんかしちゃ。推しさんの前では清廉潔白でいるんだ」という心の中の天使と「ケケケ、お前がエロオヤジだってことは推しさんにはお見通しだぜ。推しさんだってエッチなことをしてるかも知れないぜ」という心の中の悪魔が戦いを繰り返す日々。

オナニーのような汚いことはしたくないのに、思春期の頃から全く衰えることもなく、いや、益々元気に欲望を溜め込んでギンギンになるモノを見ると憎たらしくもなる。

本当に持ち主の気持ちも知らず言うことを利かないきかん棒である。

そして、ついに最初の事件が起きることとなる。

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