奇跡を信じて
第9章 大地の病室にて
その友達というのは、同じ病室にいる誠という子供のことである。誠は大地と同い年で5歳だ。病気も大地と同じ白血病で、大地よりも半年早く入院しているのだ。
その時、ちょうど誠の見舞いに来ていた母親の美代子が、大地の家族に気付き、
「こんにちは」と言った。
「こんにちは、今日からこちらでお世話になる村山です。息子の大地です。これからもよろしくお願いします」とひとみは言った。
「大地君ですね。息子の誠です。こちらこそよろしくお願いしますね」と美代子は言うと、
「誠、大地君と仲良くするのよ」
「うん、仲良くする」と誠は言って、大地のベッドに近づくと、
「これ、あげるよ」と誠が、折り紙で作ったものを大地に渡した。
「ありがとう」と大地は言うと、ひとみは誠に、
「誠君、どうもありがとう。カブト、すごく上手にできているね。今度、大地にカブトの折り方を教えてあげてね」と言った。
「いいよ、教えてあげる」と誠は言った。
その後、大地と誠は、折り紙で遊んでいた。
そして、大地は両親に向かって、
「パパとママが帰っても平気だよ」
「大地はやっぱり強い子ね」とひとみが言うと、
「男の子だから、強いもん」と大地は自慢げに言ったのだ。