奇跡を信じて
第20章 白血病との闘い
6月中旬に入ってから、大地の身体が以前に比べ、少し弱ってきたのだ。
抗がん剤を点滴に入れて投与を続けることになった。
大地がその薬のせいで、何か食べようとすると気分が悪くなり、吐きそうになったりしているのを見ていると、ひとみは辛くてできるものなら、自分が代わってってやりたいと思っていた。
ひとみは自宅へ戻り、幸雄に、
「大地の辛い姿を見ていると、涙が出そうになるの。こんなに辛い治療をして、ほんとうに元気になってくれるのか、分からなくなってきた」と言うと、
「そんな馬鹿なことを言うなよ。大地はきっと元気になるから。俺は大地が元気になると信じているけど、大地の誕生日に大阪ドームへ連れて行くのは難しいかもしれない」と幸雄が言った。
「でも、大地のために何とかしてあげたいわ」
「明日、俺が大地に話をしてみるよ」と幸雄が言った。