
身体を重ねても、想いはズレたまま
第7章 第7章 濃い変化
そして、実際に都営三田線沿線の東京タワーが間近に見えるマンションを彼女は借りた。
以前、一度だけ
「私の住んでる世田谷のマンションに来る?」
と聞かれたことがあったが、男と同棲している部屋に入るのは、さすがに気が引けたのでいかなかった。
私も彼女を自分の住まいに誘ったことはなく、外でしか会わなかった。
そんな彼女が、新しいマンションに私を招いてくれた。
まだ、荷物を搬入していない伽藍堂の部屋の大きな窓からは、確かに東京タワーが見えた。
「いいね。
毎日、キレイな夜景を眺めながら、眠りにつくって」
「無理だよ。
たぶんベッドで寝たら、見えないよ。
見えるっていっても遠いもん」
「そっか」
2人して苦笑い。
