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宅配のお兄さんにどんどん逃げ場を無くされるはなし

第5章 逃亡

「音楽が好きです。」私はそう言った。

「へぇー、俺も音楽というかバンド好きなんだよね。レディズっていうバンド知ってる?」航大さんはそう言った。

「名前は聞いたことある気がします。」
ーー嘘。
私は、バンドなんてちっとも知らないくせに嘘をついた。
音楽っていうワードで彼のことが頭をかすめたからかもしれない。

早く忘れたいんだ。
私の嘘を真に受けた航大さんが、バンドの話を得意げに話している様子を見ながら何から何まで違う航大さんのことを好きになったら、忘れられるかもなんて思った。

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