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黙ってオレに抱かれろ

第7章 サッチンと獅真

突然の告白。

「オレは異世界から来たんだ」


サッチンは獅真の深刻そうな深緑の瞳を見つめ返す



「ぶっ飛び発言だな〜でも、信じるよ」


思い返してみれば、獅真は浮世離れした感が否めない。
サッチンはわくわくが止まらなかった。



獅真は今までの経緯を語りだした。

レストランの女の子、ビアルネスが獅真の住む異世界に迷い込んできた事

一目惚れした獅真はビアルネスを探し求めて、自らコチラの世界にやってきた事

コチラの世界では獅真斗真と言う人間に憑依している事

探し当てたビアルネスはまだ少女で、時間にズレが生じていた事

少女のビアルネスを獅真の異世界に連れ帰り
そして、婚姻を果たし初夜の晩に結ばれた事

しかし、最初に会ったビアルネスを忘れる事が出来ず2度目のタイムループを試みて現在に至る。



「はぁ…アンタってめちゃくちゃ強欲な男だね」

「欲しい女は必ず手に入れる。フツーだろ?」


獅真は涼しい表情で言ってのけた。


「うーん、スゴくムカつくんだけど…獅真さんが言うと妙に納得しちゃうなぁ」



辺りは日が暮れて、夜の帳が下りはじめた。

獅真はぼぉーと夜空を見上げている。


「コッチの世界は星が見えないな」

「夜でも明るいからね、獅真さんのいる異世界は星が綺麗なの?」

「あぁ、吸い込まれそうなくらいに」


少し感傷的になっている獅真の横顔をドキドキしながら眺めていた。


小さな公園のベンチに腰掛け、しばし夜空を見上げる二人

夜風に吹かれて、サッチンは身体が冷えてくるのを耐えていた。


「サチ子、今日は付き合わせて悪かったな」


そう言うと、獅真はベンチから腰を上げた。


「そろそろ、帰るか…!?」


振り返ると同時にベンチの上に立ち上がったサッチンは獅真に抱き付いてきた。


「獅真さん…ワタシも抱いてくれる?」

「あぁ、いいよ」


獅真は小さなサッチンをぎゅっと抱きしめて言った




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