
くるみの初恋、高校教師。
第17章 初めてのキス
「先生…」
くちびるが離れると、くるみは先生に抱きついた。
緊張して、ドキドキして、ほんの少し怖くて…
全身をなにかが駆けめぐり、心地よくまるで夢をみているようだった。
どう表現していいかわからない、初めての感覚にくるみは自然と涙があふれた。
「くるみ…」
"まだ早かったか…。"
一ノ瀬は不安なりながらも、くるみに声をかけた。
「くるみ…ごめんな。嫌…だったよな。」
くるみは首を横に振った。
「嫌じゃない。うれしかった。すごくうれしかった。
こんなドラマみたいな初めてのキス、夢みたいだった。
だけどなぜか涙が出るの。」
女の子は感情が入り乱れると涙を流す。
でもそれは、決して悲しい涙というわけではない。
一ノ瀬はくるみを抱きしめ今度は頭にキスをした。
「大好きだよ、くるみ。」
「わたしも先生のこと大好き。」
誰も邪魔できないような、そんな見えないベールが2人を包み込んでいた。
