りさと3人のDoctors
第34章 蓮の治療
「…にぃに?」
なにも言わずやめた蓮に、りさはキョトンとする。
「りさ、にぃに最初になんて言った?ちょっとでも痛かったら教えてって言ったでしょ。今痛かったよね?」
「痛いけどほんの少しだよ。我慢できるくらいだよ。」
本当は痛くてやめてほしいくらいだったけど、りさは嘘をついた。
(はぁ…、仕方ないな…。)
「…あのね、りさの中はまだ十分に伸びてないから、ほぐされてるときそれなりの痛みがあるはずだよ。先生は毎日たくさん女の人のこと見てるからわかるけど、本当のこと言えない?先生はりさがつらくならないようにしてあげたいと思ってるのに、嘘ついてるでしょ…?」
蓮がりさに対して自分のことを先生と言うのは珍しい。
どんなときでも、なるべくにぃにとしていてくれる蓮が、医者としての立場をあえて強調し、嘘をつくりさに、にぃにという甘えを捨てさせ厳しく問いただした。
そんな蓮にりさはなにも言えず涙をこぼした。
「治療は終わりにしよう。一緒にお家帰ってにぃにとちょっとお話しよっか。ねっ。」
蓮はすぐににぃにへと戻り、りさに優しく声をかけた。
「ごめんなさぃ…。」
りさはそうつぶやいた後、着替えて蓮と家に帰った。