りさと3人のDoctors
第53章 豪のお迎え
キーンコーンカーンコーン___
(やっと終わったー…。)
午後の科目も無事に全て終了し、りさは教室を出て門に向かった。
「りさー。」
「あ、豪先生!」
模試終わりで疲れるだろうと、休みの豪が迎えにきてくれていた。
「おつかれ。シートベルトできた?」
「うん、ちょっと待って…。あれ…?」
助手席に乗り込んだりさは、シートベルトが絡まったのか、なかなか締められないでいる。
「なにやってんだ…。ちょっとりさ貸して。」
豪はりさの前に身を乗り出してシートベルトを奪い取ると、ねじれをサッと直し、カチッとはめ、仕上げにシートベルトとりさの体の間に手を入れて、シートベルトが体にきちんと沿うようにスーッと肩まで手を通してくれた。
「よしっ。ったく、鈍臭いんだから。」
「えへっ。ごめんなさい。」
豪はりさのほっぺたをむにっとつまんで、少し呆れたような笑顔を見せた。
(まぁこういうとこもかわいいんだけどな…。)
「よし、それじゃ行くぞ。」
豪はゆっくりとアクセルを踏み込み、家へと車を走らせた。