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第6章 『うつくしい古傷』

愛する女性の腕にある少し前の縫いあとを指先で撫でる。その傷さえも美しい、と感じるのはこの傷にひとつの物語があるからだろう。
「くすぐったいよ?」
「…それだけ?」
視線だけを上げて、瞳をそのまま細める。目と目が合うと、少し照れた顔で笑いかえしてくれた。
愛しくなる。ただ愛しくなった。

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