
蜃気楼の女
第27章 後継者・橋本浩一
「ねえ、ひどい性癖を持つあたし、嫌いになった? キスに深い意味はないの、あたしにはただ気持ちよくなるための行為なのよ…… だから…… おじさん…… あたしに…… キスしてくれる?」
「また言ってる…… 本当にきみの心の中にすむ悪魔が言ってるのか? それは愛の行為なんだ、きみのお父さんとお母さんを見てきたんだろ? それを思い出してみなさい……」
そう言われた尚子は両親の姿を思い出そうとした。お父さんはお母さんをむちで打っていた。あんなものでたたいてもお母さんの体はいつも美しかった。尚子は橋本にたたかれた手の甲を観た。赤く少し腫れていた。お父さんはお母さんの体を気遣ってたたいていたことに思い当たった。思わず尚子は声を上げた。
「お父さんはお母さんのためにたたいていた。だから、いつも冷静だった」
進一もそうだ。あたしを愛してくれるからあたしが傷つかないよう接してくれていたのだ、と思い当たった。
「進ちゃん…… ごめんね……気が付かなくて……」
橋本は尚子の言う魔性能力を持つ民族の存在に驚いた。田所の花魁(おいらん)疑惑など、子どものけんかのような、たわいないことのように思えた。そんなことの追求に3年間も自分はエネルギーを費やしてきたかと思うと、時間を無駄にしたようで悔しかった。尚子みたいな民族をこのまま放置することのほうが、日本が、否、世界が危ない! 橋本は改めて尚子の能力に恐怖を感じた。今までこの美少女に感じていた恐怖は、この子の魔性能力を誰かに悪用され、利用されることである。橋本はそれを本能的に感じた。だから、美少女に会ったときから違和感を抱いていたのだろう。しかし、そんな能力があるなんて、信じられないことだった。超能力があるという尚子は、橋本には能力が使えないと言うから、見るまでは信じられない。
「キスはもういいわ…… おじさんとあたしはずっと友だちでしょ? あたしたちのことを助けてほしい、そういう子がアラビアーナ国にはまだいっぱいいるみたいなの。その子たちは隣国の男性をひそかに拉致しては、レイプして廃人にしているって聞くわ…… あたしも隣の家の進ちゃんにひどいことをするところだった……」
「ウーーーン…… ひょっとすると、田所はそういう子をこの学園に集め、更生させるつもりなのかもな?」
「また言ってる…… 本当にきみの心の中にすむ悪魔が言ってるのか? それは愛の行為なんだ、きみのお父さんとお母さんを見てきたんだろ? それを思い出してみなさい……」
そう言われた尚子は両親の姿を思い出そうとした。お父さんはお母さんをむちで打っていた。あんなものでたたいてもお母さんの体はいつも美しかった。尚子は橋本にたたかれた手の甲を観た。赤く少し腫れていた。お父さんはお母さんの体を気遣ってたたいていたことに思い当たった。思わず尚子は声を上げた。
「お父さんはお母さんのためにたたいていた。だから、いつも冷静だった」
進一もそうだ。あたしを愛してくれるからあたしが傷つかないよう接してくれていたのだ、と思い当たった。
「進ちゃん…… ごめんね……気が付かなくて……」
橋本は尚子の言う魔性能力を持つ民族の存在に驚いた。田所の花魁(おいらん)疑惑など、子どものけんかのような、たわいないことのように思えた。そんなことの追求に3年間も自分はエネルギーを費やしてきたかと思うと、時間を無駄にしたようで悔しかった。尚子みたいな民族をこのまま放置することのほうが、日本が、否、世界が危ない! 橋本は改めて尚子の能力に恐怖を感じた。今までこの美少女に感じていた恐怖は、この子の魔性能力を誰かに悪用され、利用されることである。橋本はそれを本能的に感じた。だから、美少女に会ったときから違和感を抱いていたのだろう。しかし、そんな能力があるなんて、信じられないことだった。超能力があるという尚子は、橋本には能力が使えないと言うから、見るまでは信じられない。
「キスはもういいわ…… おじさんとあたしはずっと友だちでしょ? あたしたちのことを助けてほしい、そういう子がアラビアーナ国にはまだいっぱいいるみたいなの。その子たちは隣国の男性をひそかに拉致しては、レイプして廃人にしているって聞くわ…… あたしも隣の家の進ちゃんにひどいことをするところだった……」
「ウーーーン…… ひょっとすると、田所はそういう子をこの学園に集め、更生させるつもりなのかもな?」
