不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第31章 恋愛成就
9月後半の残暑から逃れるように、エアコンのスイッチを入れる。
夏の仕事は一段落し、私はお気に入りの広いキッチンで料理を楽しんでいた。
明日は土曜日。瀬川くんの元へ持っていくパンを焼きながら、たくさんの作り置きを用意している。
携帯が鳴り、2ヶ月ぶりに同級生のグループチャットが光った。
平野から、キャンプの知らせだ。
「秋のキャンプ…ふふ、楽しそう」
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数週間後、参加人数が20数名で決定した事をアンナからの電話で知る。
「なんかさぁ、同窓会っていうより…もう、”いつものメンバー”って感じだよね(笑)」
失恋を乗り越えてすっかり元気になったアンナが笑う。
「あはは、確かに。バラ組は私とアンナだけだね」
「あと平野でしょ~、瀬川くん、コウヘイくん、その他(笑)んで、しっかり綾香ちゃんもいるし。ウケるう~」
…
やってきた10月のその日、私のアパートには瀬川くんが前泊していた。
もぞもぞと布団に潜り込み、瀬川くんを起こす。
「朝だよお~~ふふふ」
「んっ…あぁ、よく寝た…(笑)おはよ」
チュッと軽くキスをすると、熱いブラックコーヒーを淹れる。
「あれ、コーヒー豆買ったの?」
「うん…瀬川くん飲むかなって。でも私、コーヒー全然分かんないから味はどうか…(笑)」
「ふふっ。うまいよ、ありがとな」
シャワーを浴び、メイクも着替えも終わった頃に瀬川くんの携帯が鳴った。
「ん…?平野だ。---もしもし、…あぁ、---…」
どうやら平野がアンナを迎えに行ってくれるらしかった。
「じゃ、俺らもそろそろ出るか」
「そだね!忘れ物は無いかな~っと…」
車に乗り込み、サッちゃん親子を乗せるとキャンプ場へ向かう。
2時間の道のりはシュウトのおかげで騒がしく、笑いが絶えなかった。