不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第30章 夏の終わりに…
到着した駅からタクシーに乗り、コンビニでこれでもかと買い物をするとアンナのアパートへ急いだ。
「もしもし、アンナ?大丈夫?もう着くから」
インターホンを押すとすぐにアンナがカギを開け、赤く腫れたまぶたで私を見た。
「アンナ……」
ひとまず部屋に入ると、アンナは案外落ち着いた様子で言った。
「うあー。泣き疲れた………」
「ふふっ。いくらでも泣いていいけど、話は聞かせてよ?」
「うん…ミライごめん…瀬川くんといたんだよね」
「大丈夫」
保冷剤をタオルに包んで手渡すと、アンナはそれをまぶたに当てた。
「今日別れたの?」
「そう…夕方…」
「距離おいてたん…だよね?」
「うん。それで、先週だったかな、久しぶりに会って。-----…」
…
「晴れて再出発した矢先、彼の浮気が…黒だったことが分かったと」
「ん……。携帯見ちゃった私も悪いから、泣くしかない」
「彼は、なんて?」
「別れたくないって何度も食い下がってたけど…でも、これからのこと考えたらつらいでしょ?許せるか分かんないもん…」
「そうだね…」
アンナはまだ鼻をグズグズ言わせながら、買ってきたチューハイをコクリと飲む。
「でもさ、私…実は…」
「え、なになに?!」
「…本当に平野と花火大会行ったんだよ(笑)ウケるよね」
「えーっ!!そうだったの?!本当に行ったんだ(笑)浴衣、着れた?」
「ミライが仕事忙しそうだったから、私服でね。そんでさ…」
「うん…?!」
「これが、結構楽しかったんだよねー」
「2人はいつも楽しそうだもんね(笑)…なんか…した?」
「なーに言ってんのミライ!!やめてよおーっ(笑)ないない!」
今日初めて見るアンナの笑顔に、一安心した。
「彼のことはさ…なるべく早く忘れたい。ずーっと距離おいたりくっついたりしてきたから、もう疲れたし…」
「うん。いっぱい遊ぼう?アンナ言ってくれたでしょ。独身同士、人生楽しもうって(笑)」
「そうだねっ!ふふふっ。…あー!なんか元気出てきた。飲もう!」
「そうこなくっちゃ!」
それから私たちは窓の外がうっすらと明るくなるまで飲み語らった。